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父の目前「助けなきゃ」 踏切内、女性はねられ死亡 JR横浜線

 横浜市緑区中山町のJR横浜線で1日昼前に起きた踏切事故で、神奈川県警緑署は、男性(74)を助けようとして列車にはねられ、亡くなった女性は、同区台村町の村田奈津恵さん(40)と発表した。男性は鎖骨が折れるなどの重傷を負ったが、命に別条はないという。(朝日新聞より)

 同署などによると、男性が下り線の線路上に横たわったまま踏切の遮断機が降下。踏切待ちの車の列の先頭にいた村田さんは車を降り、「ひかれちゃう」と言いながら踏切内に入った。

 父親の村田恵弘(しげひろ)さん(67)によると、奈津恵さんは恵弘さんの運転する車の助手席にいた。踏切内の男性を見て「助けなきゃ」と話し、「ダメだよ、やめろ」と制する恵弘さんを振り切って車を降りた。踏切に入り、線路上で腹ばいになっていた男性のもとにしゃがみ込んで動かそうとしたという。

 恵弘さんは「困っている人を放っておけない子だった。助かった男性には長生きしてほしい」と目頭を拭った。

 奈津恵さんは両親と3人暮らし。4、5年前から恵弘さんが営む不動産会社を手伝っていた。この日も、2人で外回りを終え、会社に戻る途中だった。

 会社の男性スタッフは、奈津恵さんについて「温厚でやさしい人柄」と語った。商店街で道に迷った高齢者や酒に酔った人を介抱し、名前や住所を聞いて家族に連絡することもあったという。

 JR東日本横浜支社によると、運転手は踏切の手前約200メートルで奈津恵さんらに気づき、非常ブレーキをかけたが、間に合わなかったという。

 亡くなられた奈津恵さんは、お父さんの仕事を手伝っておられ、娘として暮らしていたと思います。一番つらいのは目の前で電車に引かれた現場に一緒にいたオヤジさんだと思います。電車は警笛をなんども鳴らしていたと思います。それでも助けなきゃと奈津恵さんは頑張った思います。電車の接近に5秒早く気がついておれば、この悲劇は起こっていません。老人が線路に倒れていたのはもっと前からだと思います。一緒に踏み切りを歩いている人がちょっと助けるだけでも、この大惨事は防げたと思います。私は、近場にいながら知らん顔している人が情けないと思います。でも現実がこれなんです。複雑な気持ちになってしまいます。