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 12年間往診してきた人は・・・・

 私の幼少時、昼間に預けられていた家のおばちゃんです。

 私の父は小児科医で、気の弱い人で、酒を飲むと強気の人でした。
 母は小野市加東郡連合婦人会会長したり、父が他界したのちに兵庫県議会議員になったりする名誉欲の強い女でした。

 そんな両親に育てられた私ですが、家庭は崩壊寸前でした。この仲の悪い夫婦は特にいやでした。父は外面は優しいのですが、お酒を飲むと人間が変わります。母はよく殴られていましたが、口答えをしていたのを覚えています。

 ここで往診に行っていたおばちゃんが登場します。外来で会う人、往診で会う人に、父親の悪いことをいう人がいませんが、このおばちゃんは「あなたのお父さんは酒癖が悪かったね!」というてくれました。その言葉を聞いてほっとしました。父は医師としては、患者さん第一に大事にしていた人でしたので尊敬していますが、一人の社会人としては酒癖の悪い、ただのおっさんでした!

 12年間往診していたと人にお別れをしました。

 Fさん(女性)86才で今朝5;10に亡くなられました。

 平成12年にK病院から尿バルーンを留置されたまま退院し、歩けず、74才ですでに寝たきりになっておりました。

 直ぐに往診に行き、バルーンカテーテルを抜き、オムツにして歩行訓練を開始しました。思うように力が出てきませんので、マッサージを頼んだところ、筋力が回復し少し歩行可能となりました。

 約一年後、ダンボールにつまずき、左大腿骨頚部骨折をやってしまい、また寝たきりに逆戻りになりました。O病院の整形外科に入院し、左大腿骨骨頭置換術をしてもらい、また歩くことができるようになりましたが、5年以内には寝たきりになってしまいました。

 今年になって、トコヅレができ、全身状態は悪化し、本日人生の終止符を打たれました。

 ご冥福を祈ります。お疲れさま、天国でゆっくりお休みください。